今回 15年以上続けてきた某ブランドの仕事が体力的にもキツくなってきたので
辞めることを決め その最後の一本のベルトを製作し
幕を閉じました
ベルトに使っている革は 北米産の牛革です
”ベンズ” という腰からお尻にかけての部位を使用
繊維がぎっしり詰まっており伸びにくいことから
ベルトに最適な部位として知られております
この北米産のベンズレザーを使い
15年前に息子用に作ったベルトも
素晴らしい経年変化を遂げました
北米産の革といえば
国柄なのか 分厚くて硬く荒々しい といった印象の素材の特徴があります
靴底に使うヌメ革などのワイルドな質感の革が有名です
仕上げも荒々しく
100年以上の歴史を持つアメリカのHorween Leather Companyでは
シェルコードバンがあまりにも有名ですが
裏面を見れば 染料が付きまくり
重要なブランドマークのスタンプもインクが薄すぎ
こんなことは当たり前のように
処理されてしまいます
このようなスタンプは奇跡のようにも感じます
しかし 表面を見れば
この質感
ホーウィンならではの圧倒的な鈍い輝きを持つ唯一無二の質感です
他にも
アメリカには 世界的に有名な素材を生産し続ける
素晴らしいタンナーが存在します。
”wickett&craig社”
こちらは150年の歴史を持ち
自社の牧場も経営し 原皮の調達から加工まで
一貫して行うこだわりのタンナーと聞いております
リュテスでは
これまでイタリアのレザーを中心に取り扱ってきました
イタリアの革にはない”北米産”ならではの
素材感をよく見てみたいということで
先日 浅草の問屋にお邪魔しました
ウィケット&クレイグ社のレザーも
日本で有名な”栃木レザー”も
北米産の原皮を使用しておりますので
じっくりと見定めてまいりました
中でも注目すべきは
やはり”wickett&craig”の素材です
こちらはハーネスレザー
オイル ワックス 獣脂をミックスし芯まで浸透
ワイルドな風合いと柔軟性を与え プルアップの表情を際立たせています
革の名が示すとおり 強度と耐久性が求められる
“ハーネス(手綱)用” 極厚極上品です
他社のハーネス用と違い 出来る限り引き伸ばさず乾燥しているとのこと
染色のないヌメ色ではありますが
オイルが芯まで浸透しているので
すでに茶色になっています
折り曲げれば元の色が浮かび上がります
本物のプルアップレザーの代表格ではないでしょうか
素晴らしい質感です
こちらは”オイルラティーゴ”
ハーネスレザー同様に
革の吟面(表面)を残した状態で
タンクに蓄えられたワックスとオイルの混合液に一定時間浸し
ワックスを浸透させることを特徴としているので
強度と柔軟性を兼ね備えています
こちらもプルアップが素晴らしい
他にも
こだわりの栃木レザーの中でも
特別にこだわった素材もしっかりと見てきました
今まで扱っていなかった革で
素晴らしい素材は世界中にあります
今後も新たな素材探しを続け
新しい発見を探っていきたいと思います
こんにちは。リュテスの高橋です。
オイルラティーゴは6色ありましたが、
どれも濃厚な色味で、落ち着きのある中でも迫力を感じます。
また、コシがあって質感が良く、
荒々しさの中にもきめ細かい銀面の上質な素材感を感じます。
銀面は油紙と同じで油分がたっぷりと含まれており、
接着ができそうにないので、
床面を厚めに残した状態で製品化できるものに限られそうな気がします。
床面もかなりの油分がしみでておりますが…
オイルの膜で覆われた革を折り曲げることにより
内部の油分が動き、色の濃淡が現れる。
このプルアップを楽しむには、平面ではなく
折れ曲がる部分にこそ使用するのが一番良い気がします。
考えると色々広がりますね!
ご投稿ありがとうございました。
北米産の革、面白そうですね。
特にオイルラティーゴが楽しそうです。ワイルドな革をどう美しくまとめていただけるのか、否が応でも期待が高まります。ワクワクしますね。